アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-049-
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形成された光のチューブによって、残像すら許さぬ加速で宇宙空間へ射出される。
放射線において特に有害かつ高速なのはガンマ線、中性子線である。対してまず、光のチューブは高密度の光子で構成されており、ガンマ線成分も含有する。いわば“毒をもって毒を制す”状態である。一方セイルは中性子線も遮蔽する。そもそもそうした高速粒子を受け止めて推進力とする構造である。
「放射線計測」
先んじて画面に出してある。レムリアが読み上げようとしたら赤文字警告。
「ガンマ線カウンタに変動あり」
「有意か」
「判りません。中性子は検出されず」
レムリアは言った。自分自身、生物・医学サイドの側から、遠くまで届き、なおかつ危険なのはまずこの2つと知っている。ちなみに、これらは生物の遺伝子を破壊または改変するため、大量に浴びれば即死する。
「相原どう思う」
アルフォンススが尋ねる。
急に話を振られて彼は困るのではないか、と、思ったが、
「出たかどうかはどうでもいい。今幾らで、続いているのか止まったか、だ。環境基準値と比較したい。積算値がモニタできるか」
レムリアは画面をタッチした。
「0.7……えむえすぶい?」
「スラッシュの後ろは」
「h」
「みりしーべると・ぱー・あわー(mSv/h)だよ。短時間でそのレベルなら問題無い。その後の変化は」
「減少」
「なら爆弾本体による影響は消えた。爆弾本体の現在位置は」
「大気圏外12万キロ位置」
レムリアの報告を受け、
「了解行け。最後だ」
アルフォンススが宣した。
最後。取りこぼした1発、最後の1発を捕らえに行く。
高度550メートル。
「予測爆発高度」
「構うな突っ込め!」
アルフォンススが叫ぶ。スクリーンに弾頭が現れる。見る間に接近する。
(つづく)
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