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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-058-

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 船のコンピュータが解析を終え、画面にMTLシステムの全容を表示する。それは地球を周回するGPS衛星のうち24基、および地球-月間ラグランジュポイントに配された宇宙砲台とで構成されていた。GPS衛星自体が鏡を持っているという。そもそもGPSは兵器の精密誘導や航空機・船舶の位置把握用。軍事用の機能を複合して持たされていてもおかしくはない。むしろそれで普通。ただ、GPS衛星であれば、この軍事衝突の危機の最中で打ち落とすわけに行くまい。精度が落ちたところで多国籍軍に含まれない独裁国家がここぞとばかり行動する可能性はあり得るからだ。
 ちなみにMTLの基本概念はSDI(戦略防衛構想)として合衆国が計画していたものだ。20世紀後半、冷戦時代の話である。しかし、当時の技術で高出力のレーザを射出する衛星の製造、或いは地上からの光条を反射誘導するなどは絵空事に等しく、特撮映画なみの馬鹿げた話と酷評された。時の国防部門も応じて提案を引き下げたわけだが、それはフェイクであって、実際には将来の実現を念頭に周辺技術から固めていったと考えられる。高精度な衛星写真の取得は地上目標に正確に光学機器を向けることであるし、GPSは位置を把握する技術。そして、レーザ自体も小型かつ高出力化され、衛星サイズと太陽電池で所定の能力が得られるようになった。
「宇宙望遠鏡そっくりだなこいつ」
 合成CGの砲台を見て相原が言った。宇宙望遠鏡、例えばハッブル鏡が知られるが、望遠鏡の鏡筒と砲身は形状がほぼ一緒。そして、宇宙望遠鏡の撮影は、地球を巡る軌道に浮いたまま、億万光年彼方の天体に正確にピントを合わせること。
 なお、ラグランジュポイントとは、地球周辺で月や太陽との重力が等しく働き、結果地球に対し一定の距離で浮いていられる場所。発見者の名にちなむ。
 
(つづく)

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