アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-062-
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砲弾の行く先には、青みの残る空を飛ぶ白銀の光球があった。
砲弾は光球を狙ったと見られる。しかし、光球は突如意志持て動き、砲弾は虚しく行き過ぎ、東京湾の水柱と化した。
白銀の光球は言うまでも無くアルゴ号である。その船内。
「砲弾はどこへ落ちた。種類は。劣化ウラン弾じゃあるまいな」
「東京湾内。通常弾頭です」
相原の問いにセレネが答えた。そして、
「合衆国の通信傍受。本船に対し最大限の迎撃指令」
セレネが報告。
「了解。近づくのは待て。流れ弾が東京に落ちる」
「衛星群の役割が判りました……」
コンピュータの解析が出たのでレムリアは読み上げた。各衛星は赤外線レーザを地上標的に伸ばしている。
そして、12の標的レーザが示す位置を線で結ぶと、今は円を描いているが、その円は次第に縮まってきている。その円が縮まれば1点に収斂する。そこが標的。
「秋葉原駅」
「アキバ?皇居でも国会でも東京駅でもなく?」
相原が問う。
「今の砲弾軌道を逆算すると秋葉原になる。合衆国も捉えようって腹だろ」
「衛星が12ってのが判らん。帝国のは地上砲台だろう?合衆国は複数から同時発砲だから多重化って理解出来るが……なぁ、これレーザじゃないんじゃないのか?」
攻撃警報。
「本船照準、米軍です。東京湾イージス反応。パトリオット撃たれます。都内千代田区、千葉習志野(ならしの)、神奈川横須賀。PAC3」
パトリオット……つまり迎撃ミサイルで撃たれる。
「全弾回避せよ」
「アイ」
マイクロ秒で即応するアルゴ号にとって、システムのミサイル自体の回避は不可能な行動では無かった。特にPAC3以降の機種は体当たりしてくるので、寸前で僅かに動いて命中を避ければ事足りる。
ただ、回避行動は燃料をそれなりに使った。
(つづく)
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