アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-068-
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「(私たちに存在してもらっては困るのでしょう。だからって貴国の存亡に関わるような大がかりな罠を仕掛けるのはどうかと思いますが。それとも自国に害は無いという算段があったのでしょうか)」
「(上院議員殿の研究所を破壊しておいて何を言う!)」
合衆国側の小隊長であろうか、腕の星マークが異なる兵士が怒鳴る。以下指揮官と記す。
件の研究所は、国際的には風土病の研究所、という事になっており、そこを破壊した非人道行為と見られている、ということであろう。
その際目撃された空飛ぶ船が、今回の騒ぎで目撃された船と同定された。
「(それについては国連安保理事会で証拠に基づく説明をしている最中です。伴って私たちの捕縛については一時中止命令が出たはず。この船の背後、電気店の壁面ビジョンが見えますか?)」
言下、電気店の壁面ビジョンがテレビ放送を映し出す。本来は広告表示用であり、テレビ画像は映さない。無論、船が電波で強制的に押し込んだものである。
国連安保理事会の会場と見られる。船を捉えたと見られる写真を出して口角泡を吹いているのはヘルムズ当人である。研究所の爆発、戦闘機墜落等で絶命した傭兵、人体実験で出血熱を発症して死亡した自治区原住民らの画像が用意されている。船がこうした殺戮と破壊を演じた、と言うことだろう。
対して反論。
それは、ハリケーンの空域でミサイルを打ち落とした際、出張ってきた南米大陸の軍が撮影した動画。
それは、露国上空を飛びながらMARV弾頭を回収して行く様子を地上から映した動画。
更に研究所破壊活動で記録された一連の動画と、その際救出された人々の身元確認動画。ある女性はアフリカ南部で拉致され、ある男性は研究所の調理師募集に応募し、
有色人種のサンプルとして種々の人体実験に供された。
(つづく)
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