« 【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-13- | トップページ | 【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-14- »

【理絵子の夜話】犬神の郷-33-

←前へ次へ→
 
 理絵子が笑って見せたら、犬は一つ吠えて尻尾を振った。各々、傍らに控えて立つ。送り狼という言葉があって良からぬ意味に使われるが、実際はこうしたボディガード犬の事だったのではないか。……犬神明の話で読んだが、その通りという気がしてくる。
 出かける準備。白い死に装束にわらじ履き。
 持ち物は錫杖(しゃくじょう)一本。お地蔵様が手にしている多数円環の付いたあの杖だ。3人で一本。代表して理絵子が持つ。
〈美砂姉が持っても……〉
 この杖はオカルト面では超能力の指揮棒だ。当然、最大の力を持つ美砂が適すると理絵子は思ったが。
〈だめだめ。私のは機序が違うから。何て言うかな、あなたが密教なら私は魔法〉
〈北欧系の魔神さんに九字切ったことあるけど〉
〈私が適当に杖振り回したら特定の起動コマンドになりました。じゃヤバイでしょ〉
 見送られて出発する。この集落には3箇所から入れる。理絵子達が越えてきた尾根。集落脇を流れる川の下流から、そして上流から。組長らが来たのは上流ルート。但し雪崩で潰れた。とりあえず足を向けたのは西側。その理由。
「道無き道の西側尾根に入り口?」
「普段出入りしないとすればそこだけど……キーワードが原点始まりなら西より東でしょう」
「東には祠があったし」
「でも、地形が……お股に似てた感じでは……」
 ちょっと躊躇。何か悔しい。無知なおぼこの無駄な恥じらい、みたいな。
「逆に考えると、どんなのが似てる?」
 女の子3人で何の議論だか。
「カルデラ。外輪山と内輪山」
 美砂が言った。
「真っ赤な血が出て大地が出来て行く。私個人は神話がセクシーなのはそういうのの反映じゃないかと」
「じゃぁ、火山?」
「近場はあの人」
 登与が指さしたのは富士山である。地理的によく見える。
 
(つづく)

|

« 【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-13- | トップページ | 【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-14- »

小説」カテゴリの記事

理絵子のスケッチ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【理絵子の夜話】犬神の郷-33-:

« 【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-13- | トップページ | 【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-14- »