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【魔法少女レムリア短編集】リトル・アサシン-04-

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「むしろ忍者かも」
 彼女はやはり日本語で言って、振り回すナイフの刃先を、中指と人差し指、ピースの状態から指二本でつまんで受け止めてみせる。
 真剣白刃取りのミニチュアである。これは車中の男達すべからく驚いた。但し、大したコトはしていない。男がナイフをどう動かすか、その意志を読み取って先んじて指を出しただけ。
 次いで。
「(どうぞ。日本のライスクッキー)」
 手品の要領でパッと取り出す、要するにお煎餅。
 半分に割って渡す。
「ニンジャ!ニンジャ!」
 検問係は形而上の存在にでも出くわしたような、恐怖とも言える表情を浮かべ、ナイフを腰のホルダーにしまうと、彼女の真似して煎餅をバリバリ囓った。
「(美味い)」
「(子ども達でも食べられるかな?と)」
 彼女がそう返すと、検問係は背中の銃を一旦戻して安全装置をセットした。
 忘れていたわけではないのである。その気になればいつでも撃つぞ、だったのだ。裏返して発砲の意志はなくなった。
「(お前気に入ったぞ。名前は)」
 煎餅をかじりながら尋ねる。表情は幾らか温和になった。
「レムリア」
 彼女は答えた。
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 EFMMの医療キャンプは、赤茶けた乾燥地の真ん中にぽつんと設営されていた。陽炎の向こうには切り立った崖を望む。地質時代に浸食された川底にあたる。
 人々はその崖の中にトンネルを巡らせ、土中都市を建設して暮らしている。異教徒の無人偵察機の目を逃れると共に、大地そのものを要塞として利用するためである。そしてキャンプが崖から離れているのは、異教徒が含まれているから。異教徒は基本的に異教徒というだけで処罰対象者だが、医療救命を引き換えに接近を特認されたという扱いである。何か彼らにとっての不都合が生じれば即座に処刑されることは実例を引くまでもない。もしこの地に異教側の走狗たる政府軍が近づけば、密告の嫌疑で処刑されるであろう。それが単なる偶然であったとしても、である。疑わしきは罰せよ。
 ちなみに、崖の上は一面ケシ畑。異教徒が畑に手を出したら下から吹っ飛ばしてやるのだそうだ。
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(つづく)

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