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【理絵子の夜話】犬神の郷-38-

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 思想誘導だと気付かされる。近い言葉に催眠・洗脳が使えよう。自分の考えを、他人の意識に、あたかも他人自身の考え・思いつきかの如く送り込む。
 他人の側からすれば、例えば突然好きでも無かった特定の人物が好きになる。
 そう思うように仕向けられるのである。
 それを、自分は今、仕掛けられそうになった。
 空恐ろしいようだが対処法は存在する。全然違うことを考えるのである。
 実は密教などの“一心不乱に呪文を唱える”という作業は、この全然違う事を考える作業をアシストする。意識を全て呪文に集中させ、余計なことを考える余地を与えないのだ。故に呪文以外の何かは外部からの物と気付ける。
 理絵子は登与と手を繋いだ。彼女の不安を感じたから。
 付いてくるようにと彼女に指示し、目を閉じる。
 肉眼で見た視界では、キュクロプスと本橋美砂が宙に浮かんで対峙している。
 対して目を閉じ、呪文で満たされた意識で見えているのは。
 泡状の力場と力場の衝突。シャボン玉が押し合いへし合いしているようにと書けば近いか。方や本橋美砂でありブリリアントな水晶色をしており、此方キュクロプスのそれはブラッドルビーのような血の色をしている。
 美砂はキュクロプスの性的欲求の本質を狙っている。対してキュクロプスもそれは承知しており、防御と共に彼女の心理的切り崩しを狙っている。すなわち、女性が本能的に恐怖を抱く陵辱の意志をあからさまに提示し、屈服・恭順させようとしている。こちらはこちらで自分達の肉体に滅びてもらっては困るのである。陵辱できないという理由で。
 とまれ、攻撃と防御に対称性がある。
〈違うよ〉
 登与が呟くように。
〈こいつの肉体を攻めても無駄。再生するよ。プラナリアみたいに〉
 プラナリア。2つに切ると2つの個体に再生する、ある意味不死身の生物。
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(つづく)

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