【魔法少女レムリア短編集】リトル・アサシン-07-
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持って行く機材を一つ一つ彼に見せて大型のバッグに詰める。無論、バッグは手品同様、裏返して空であるところを見せておく。問診キット一式に注射器たくさん、抗生物質、そして、お腹の赤ちゃんを見るのに使うことでおなじみ、超音波解析装置、及び、その際塗布するジェル。
「この機械はなんだ」
少年は解析装置をバッグに収める動作を制して言った。……テレビに近似だが似て非なる謎の箱であり、疑う理由も判らぬでない。
「身体の中を切ったりせずにある程度覗くことが出来る……」
「そんなこと出来るもんか」
「あなたの虫歯も口開けずに見えますよ。やってみせましょうか?」
「オレに触るな」
突撃銃の銃口がこっちを向いて、安全装置ががちゃんと外れた。
ええい面倒くさい。
「めいど・いん・じゃぱん」
指さして言う。別にウソではない。裏の銘板を見せる。読めたようだ。
そして実は〝日本〟というフレーズは、先の道中がそうであったように、国際的な緊張を一瞬で解くマジックワード。
「私自身で」
言って電源を入れ、起動を待ち、バーコードリーダに似た、センサ部分を頬にあてがう。歯並びが3次元で表示される。
「胸に当てるとこの通り心臓がドキドキ」
「ば、バカヤロ」
彼が目を逸らして照れてから、彼女はその理由を知った。
「持ち込んでいい。オレの後ろから付いて来やがれ。走るんじゃねぇぞ」
荷造りを終えると、少年が洞窟都市の方へ向け声を発した。行く旨報告であろう、朗々とその声が反響する。少しあり、洞窟側から応じる声が聞こえ、男が2名現れて銃を高く掲げた。
2名は銃を下ろすとキャンプへ向けた。移動中疑義あればレムリア達はおろか、キャンプ丸ごと銃撃するぞ、というわけだ。
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(つづく)
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