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真っ赤な電車の秘密の仕事-2-

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 ちなみに、モ510というのは、名鉄(名古屋鉄道)で走っていた大正生まれの古い電車の形式。
「んなもん駅の人に訊けばいいだろ?」
 コウタが呆れたように言った。
「本来業務と関係ないことで現業職員に手間を掛けさすなどマニアの名折れ」
 ユースケは威張って言ったつもりだったが、
「お前の勝手な想像を誰かが聞きかじって変な噂が広がった方が余程迷惑」
「そうだよ。それに今までも何度かお世話になってるじゃん。何を今更」
 新車が入ったとか、鉄道の夜の仕事紹介とか、校内壁新聞に書くのに“取材”したことがある。
「でもそういうのと違うじゃん。学校の勉強で発表したいので、ってのとはさぁ」
「本当に迷惑なら断るだろうよ。帰りに寄ってみようぜ」
 ユースケはちょっと躊躇いながら、2人に頷いた。
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- 2-
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 ランドセル背負って寄り道は見つかると叱られるので、学校に一番近いヨウヘイの家に放り出し、駅まで歩く。県道を横切り、川沿いの遊歩道を歩いて行けば、ちょっと遠回りだが安全。橋を渡って駅前広場。タクシー2台にバス停一つ。停留所のベンチにおばあさん一人。木枯らしの中で少し寒そう。
 駅舎は円筒形の3階建てで、雨傘をかぶせたみたいな屋根が付いている。口の悪い人は土管ビルと言ったり、北欧アニメの建物に準えてムーミンハウスと言ったり。
 次の電車まで間があるせいか、改札口に駅員さんはいない。ちなみに、貧乏電鉄なので自動改札やICカードなんてハイテクなキカイは縁が無い。その都度駅員さんが立って切符にスタンプを押す。
 精算窓口の駅員さんが自分達に気付いた。
「よう3人組。学校サボってゲーセン(ゲームセンターの意)かい」
「ち、違います」
 ユースケが慌てて手のひらと顔を左右にブンブン振ったら駅員さんは笑った。
「冗談だよ。でも俺達にも通報義務あるからそういうことするなよ。駅長だな。呼ぶからちょっと待ってろ」
「え、あ、はい」
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(つづく)

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