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真っ赤な電車の秘密の仕事-3-

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 もう3人組で駅に来れば電車関連の情報収集、と解釈されているようである。3人は“関係者以外立ち入り禁止”のドアの前で待った。
 ドアが開く。ニコニコ顔の“太っちょ駅長”が顔を出した。
「やぁ君たちどしたい」
「お忙しいところすいません……」
 ユースケが恐縮していたら、
「こいつが、トンネル掘ってるんじゃ無いかって言うもんですから、真相を……」
 コウタがストレートに訊いた。
「なんと、もうバレたか」
 駅長はニコニコ顔のまま、制帽を脱いで頭の後ろをポリポリ掻いた。
 そして事務所の中に振り返ると、ちょっと出てくるから頼むー、と一言。
「まぁ、一緒にいらっしゃい」
 先導されて駅前広場、更に“18メートル級じゃ無理”のルートに沿って歩く。件のトンネルに行くようだ。
 トンネル入り口は前述のように板で塞がれている。が、良く見ると大きな扉になっていて左右にガラガラ開くようだ。その隅っこにドアがあって“関係者以外立ち入り禁止”。
 駅長が開いたら、中から光が溢れた。
 照明が多く点いていて作業をしている。暖房された空気がもわっ。
「まぁ、入りなさい。あ、これかぶって」
 駅長がドアから半身を入れて取りだしたのは黄色いヘルメット。
「色々作業してるからね。危険防止のため。僕が保安責任者だから守ってくれないとタイホされちゃう。あご紐もキチンと締めて」
 そして、
 中に入って、
 びっくりが二つ。
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-3-
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 トンネルの壁にベニヤ板が立て掛けてあって絵が描いてある。車輛の側面を切り取った感じで、雲のような白いモクモク。実物大の電車のプラモに雲の絵を描きました状態。側面と、前面。
「“痛車(いたしゃ)”って聞いたことあるかい?」
 駅長が尋ねた。
「アニメの女の子の絵が描いてあるクルマ……ああ」
 ヨウヘイが頷いた。元々はいい大人がクルマにアニメの女の子の絵をでかでかと貼り付けて“痛々しい”ので、イタリア車を意味する“イタ車”と掛けて痛車なのだが、それの電車版ということであろう。
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(つづく)

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