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真っ赤な電車の秘密の仕事-4-

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 電車に直接ペイントするのは大変なので、ここで実物大のベニヤ板を用意してデザイン検討、痛車と同じ要領でステッカーを注文した由。
「何のキャラ?」
「この白いのはヒゲです。赤い車体で白いヒゲ、この季節、さぁ何で……」
「サンタ」
 コウタ即答。
「電車サンタ……サンタ電車か」
「そうそう。カネ無いけどそのくらいはね」
 そして、びっくりのもう一つ。
「これHO(えいちおー)ゲージですか?」
 ユースケが指さしたのは作りかけのジオラマ。
 正確に言うと2つある。手前のジオラマは山と街が作ってあって、道路が描かれ駅と思しき建物があり、線路のスペースが出来ている。HOというのは鉄道模型の国際規格の呼称だ。線路のスペースに敷くのだろうか。
 そしてトンネル奥手にもう一つのジオラマ。そちらはおしゃれな感じの建物が並んでおり、何だかヨーロッパの街というか。
「お人形さんの街だ」
 ヨウヘイが言った。確かヨウヘイの妹が持っていたことをユースケは思い出した。建物買ってきて街を作り、人形を置いて楽しむのだが、いかんせん高いのでそうそう買えるものでも無い。だからヨウヘイがブロックで作ったり、そこに写真を貼ったりしているとか。
 その建物がズラリと並んでいる。
「こっちは男の子、向こうは女の子、道路はミニカー走らせてもらおうかなと。山の上に置くと下まで引力で走って降りてくるんだ。線路は模型じゃ無くて」
 有名なおもちゃの電車を敷く。自分のを持ち込んで走らせてもらう。
「でもどうして二つ離したんですか?」
「それなんだ。デカイの作るの難しいというのもあるけど、まぁこっちへ」
 駅長はベニヤ車体の更に奥へ歩き出した。暗がりに何かあるらしい。
「このトンネルって、別にこういうことするために掘ったんじゃ無いですよね」
 歩く時間でユースケは訊きたかったことを訊いてみた。
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(つづく)

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