真っ赤な電車の秘密の仕事-7-
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駅長は100円電車を指さして言った。コンデンサ、電気を溜めておく部品である。要するに充電して使うのであるが、
「非接触給電はIH調理器を使った。電車側には分解してコイルを積んで、地上に置いた調理器から電力をワイヤレスで受け取る。それをコンデンサにため込んで走る」
IH(あいえいち)調理器は電力を磁力線に変換して鍋に送り込み、煮炊きを出来るようにした家電品である(産業用の高温炉もある)。これを電力送信に使う一方、受信側もその磁力線発生コイルを取り出して利用、磁力線を電力に戻す仕組みとしたのだ。このため、電圧が元のコンセント100ボルトに対応しておく必要があり、市販の充電式電池では電圧が足らず、コンデンサにした。数を稼ぐため、電車の椅子の下車体の中はコンデンサがぎっしり。
「それで」
駅長はヘルメットの男性をおーいと呼んで招いた。
男性が作業を中断して走ってくる。作業服には黄色い“主任”の腕章があり、ベルトに工具がズラリとぶら下がっていてカチャカチャ音を立てる。
「何でしょう」
「そのシーケンサ使った自動制御もいいが、この子達に運転手頼んでもいいと思うが。どうせ当日は子ども達でいっぱいになる。センサーに事故が起こってもかなわん。ほれ、模型にワンハンドルマスコンのコントローラあるだろ。あれをこいつに繋ぎ込んで」
「あー電圧入力使えば出来るかも、ですね。ただPC-SD端子が24Vだから……レギュレータで落とせば良いか……」
産業機器の使い方になるので委細略する。鉄道模型のコントローラのうち、本物と同じ操作をするタイプを接続し、汎用インバータをコントロールさせようという企みである。
「それなら僕らでも」
ユースケ達は言った。
そして。
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(次回・最終回)
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