【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-002-
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「みっともない。社会人の自覚に欠けとるよ」
「そのうち慣れれば気力も出るさ。で、オカルトがなんやねん」
「それがさ」
母親は“ご近所さん”の娘の名を口にした。小学校3年生。
……進行の早い病気であり、親は医師から“宣告”を受けている。
「……魔法使いがいつか来て、病気が治る、ってごまかしていたらしいのよ。そしたらこれ見ちゃった、って」
母親は言い、女性週刊誌のページを開いて差し出した。
見出しは“くるくる巻いてるような”飾り文字で、“最年少看護婦はお姫様”。その隣には東アジア人として親近感が持てる顔立ちをした娘の写真。パッと華やかな雰囲気を持ったショートカットの美しい少女で、少女マンガのヒロインのイメージ。スティックを持って馬の背に乗っている姿からして“ポロ”の最中。13歳とある。
「ああ」
相原学はさして驚くこともなく言った。その記事には、彼女の継ぐ王家“アルフェラッツ王国”が、中世以前魔女を排出し、その血筋を現代にも伝えるとしてある。だから女系を守り通していると。ただ、魔女云々はおもしろ半分といった書き方であり、 “これが魔女?”と題して、中世の肖像画と、ティアラを着け盛装した少女の写真を、見開きの左右に並べている。
相原学は雑誌を閉じて母親に返した。
「魔女の血脈を受け継ぐ、とされる少女の記事を読んでしまったと」
「そういうこと。いっくら『それは大昔の話で現在ではおとぎ話』と言っても、聞く耳持たないんだって。だもんで、あんたにこう、納得してもらえるような、説得力のあるお話しを何かデッチ上げ……」
「無茶言うな。それにそもそも、そんな風にごまかすこと自体が間違い。医療の進歩はめざましい、信じて薬を飲むべし、位のことを言うのがセオリー。おとぎ話じゃねーんだから。3年生でしょ?そんくらいの分別あろうが」
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(つづく)
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