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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-004-

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 金曜日、夜10時。
 月明かりの草むらに相原はひとり立っている。
 桜の季節は過ぎたが、夜はそれなりに冷え込み、ジャージの上下にはんてんを羽織っている。
 腹の立つほどおしゃれの気配のない男である。
 周囲ぐるりと見渡し、無人であることを確認すると、携帯電話に何やら話す。
 変化が生じる。
 流星を思わせる白銀の輝点が西方から流れ来、相原の遙か上方、頭の上で静止する。
 相原は輝点を見上げると、地面にしゃがみ込み、後ろを向き、腕で顔を覆う。
 突然の暴風が生じる。それは相原の至近に中空より吹き下りてくるものであり、地上へ達した気流は四方へと広がり、まだ短い緑を吹き倒しながら流れて行く。相原は自らも吹き飛ばすかの如きその風に、低い姿勢でじっと耐える。
 月に照らされていた彼を何やら影が覆う。
 草原に伸びるその影の形は船。中世大航海時代を思わせる帆船。
 風と共に空から船が下りてくる。
 異様な光景である。だから相原は人払いをしたのだ。
 船底が草むらに接触する。
 風が収まる。
 相原は顔を上げ、そしてジャージとはんてんを手でパンパン払いながら立ち上がる。
 草原に船。
 マストは3本。但し、帆のあるべき位置には、工業製品の趣を漂わせる四角四面のパネルを抱えている。それ以外は、コロンブスが大西洋を横断した“サンタマリア”にイメージが近いか。
 船腹が一部奥へ動き、次いで右方へスライドして開く。
 スロープが現れて伸び、地上への昇降路を形成する。
 相原はその正面へ歩いて回り込んだ。
「じゃぁ、ちょっと」
 可愛らしい声。ポップで、ころんと転がるような、いかにも女の子の声。
 相原は小さく笑みを浮かべる。
「はい、しっかりね」
 若いがしかし、大人のイメージを与える別の女性の声が言い、スロープに人影が現れる。
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(つづく)

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