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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-005-

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 ブラウスにカーディガンを羽織り、ジーンズを履いた小柄な少女。
 雑誌の写真の娘。
 メッセンジャーのハンドルネームはlemuria……レムリア。
 月明かりに照らされ、ボストンバッグを手にし、笑顔でスロープを駆け下る。肩ですぱっと切ったショートカットの黒髪が跳ね、輝くような笑顔は明るくて元気そのもの。同じ表現となってしまうが、少女マンガのヒロインとして渋谷や原宿を買い物していて違和感はない。異国の娘と言われてもピンと来ない。
「久しぶり。あはは、今日もはんてん?」
 少女はそう言いながら、草むらの上に降り立った。
 相原を見上げるその背は、相原の額に若干足りない。身長は150センチ少し。
「元気だったか?」
 相原は問うた。二人の会話は日本語である。欧州の王家を継ぐ彼女であるが、日本語は彼女が獲得した多くの言語の一つに含まれ、操るのに何ら不自由はない。
 と、挨拶を交わす二人の後方、船腹に開いた扉の位置に、白いローブの女性が姿を見せる。
 すらりと背が高く、髪が長く、しかしどこの国とも書けない……“異国”の顔立ちの女性。
「あ、どうも」
 相原は女性に言った。
「お久しぶりですね。お元気ですか?」
 流麗な、天界で奏でられるハープを思わせるな声音。
「ええ、おかげさまで。ではちょっと彼女お借りします。ところで日本語をいつの間に?」
「いいえ。これは彼女の意志です。彼女のままに。言葉も彼女から。それでは、この辺で」
「はい」
 相原が頭を下げ、少女と共に2歩下がる。
 スロープが格納され、船腹の扉が閉まる。
 相原は船から顔を背け、少女の半身をはんてんで覆い隠す。
 再びの暴風。月明かりの作った船の影が二人を横切り、上空へと舞い上がる。
 暴風が弱くなり、二人は上方を見る。
 船の姿が輝点に包まれ、再び流星となり西へ流れる。それは船の速度が異様に高いことを意味する。
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(つづく)

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