【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-008-
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なお、彼女の本名は彼女自身が言った通りであるが、“普段着の自分ではないから好きではない”とのことなので、以降彼女をレムリアと呼ぶ。
「いいえぇ聞いていましたから大丈夫ですよただその女の子でましてお姫様だなんてあらネコタレもう慣れたの……。あ、そうだ、何か飲まれますか?といってもお紅茶とか今切らしてまして日本茶でよろしければ……学!玉露出しなさい!」
「なんだその口調の変化は。それに句読点がないから聞き取りづらい。あ、てなわけでこれが母親ね。……いいんだよペットのウーロンで。それにこんな時間に玉露飲んだら眠れんくなるぞ」
「ぺ、ぺ、ペットってあんた」
「いいの。あのね、“姫”の堅苦しさから解放してあげる意味も込めて遊びに来てもらってるから、特別扱い無しなの」
「そうですお母様。長年行方不明だった謎のハトコか、実は学さんの隠し子が遊びに来たとでも思って頂ければ……」
姫にあるまじき(?)、レムリアのそのセリフは、母親の度肝を抜いたようである。
「へ……」
「お邪魔するわけですし。夜遊びの小娘ですので適当にあしらってください。よろしくお願いします」
レムリアはぺこりと頭を下げた。
母親は緊張のガスが抜けたように笑った。
「要するに単純に学の友達ってことでいいのかい?姫さん」
「ええ、そうです」
「ん、判った。じゃぁ、そういう風にするよ。さぁ、上がって」
「はい、お邪魔します。夜分申し訳ありません」
靴を脱ぎ、一旦玄関マット上に座って身体の向きを変え、靴を揃える。
外見とよどみない動作から全く違和感ないが、それでも彼女は異国の王女である。
「へぇ……」
母親が感心する。
「あと勝手にやってるから寝ていいぜ」
相原はリビングの隣、客間の電灯を点けながら言った。
「バカおっしゃい。あんたとこの子二人っきりにして寝られますか」
「……中学生の生徒手帳か」
「彼女は立派な中学生年齢でしょうが。それに女の子のこと誰が説明するの」
「はいはい判りました。詳しいこと話したげて下さいな」
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(つづく)
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