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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-009-

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 相原は客間に彼女を通すと、壁面に向かい、立てかけておいたちゃぶ台を下ろして母親と共に座らせ、台所へ行った。
 母親のセリフがこの場にいるための大義名分であることは百も承知である。なお、実際問題として、レムリアはそのような説明をわざわざ受ける必要はない。
 その場に行けば瞬間的に把握できるからだ。そういう能力を彼女は有する。
 相原がペットボトルを3本持って戻ってくると、話は結構なところまで進んでいた。
 レムリアの表情はさえない。
 母親がドンと置かれたペットボトルに不快な表情。
「はいお茶、……ってあんたもねぇ、せめてコップに入れて持ってくるくらいの……しかも何これ冷えてないじゃん」
「お茶は人肌」
「気が利かないねぇ」
 母親はたまりかねたように立ち上がり、客間を出る。
「難病だね……」
 母親の姿が見えなくなったところで、レムリアはつぶやいた。看護師である以上、状況の把握は早い。
 なお病名はガンである、とだけしておく。
「私が何かしたとして、血行を良くしたり、身体が温まってむくみが取れたり、は、あると思う。でも、それだけ、なんだろうね。至極冷静に分析すると」
「いやに弱気じゃない」
 相原は言うと、ペットボトルの蓋を開け、ウーロン茶を口に含んだ。
 言われたレムリアはハッとした表情で相原を見る。
「お前さんらしくないぞ。先にあきらめてどうする。子供はそういう気持ち持ってるとすぐ見抜く、と常日頃のたまってるのは誰」
 相原のセリフにレムリアは黙ってしまう。
 今度は相原がハッとした。
「そこまで進んでるってことか」
 レムリアは頷く。
「ウソ付ける性格じゃないもんな」
 レムリアは頷き、感情を隠せないのであろう、その目に透明な輝きを浮かべた。
 母親が戻ってきた。結局玉露を淹れてきたようである。
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(つづく)

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