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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-010-

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「はいお茶。とっときの常滑(とこなめ)焼きを出し……学あんた何したの!」
 涙の姫様に血相を変える。
「は?」
「そんな卑怯な子に育てた覚えは……」
 呆れたように言いながら、窯変(ようへん:陶土が窯の中で釉薬の作用により色付くこと)して、黒色を帯びた朱泥の湯飲みを、ちゃぶ台に置く。
 そこで相原は母親の認識に気付く。
「待て、ちょっと待て!すっげ勘違いしてるだろ。大体すぐ戻ってくると判ってるのに手出したり……いやいやだからそういう事じゃなくて」
「そういう事じゃなくてどういうことよ。そういう事、という発言が出てくるってことは、そういう事考えてたってことでしょーが」
「それって『そういうこと』だと言いただけちゃうんか。大体この子にそういうこと……あーもうそれ言ったら逆に失礼になるだろうがっ!」
 親子の言い合いを止めたのはレムリアの笑い声。
「あははははは」
 親子間の毒気は抜けた。レムリアは赤くなった目元に輝きのしずくを一つ、しかしそのまま笑っている。
「……おかしい」
 その笑顔によって、“隠せない感情”が消えていることに相原は気付いた。
 次いで、口の端だけ曲げてニヤリ。
「笑い、だ」
「え?」
 今度はレムリアがハッとする。ついで笑みを作って、
「そういうことか」
「そういうことだよ」
「どういうこと?」
 了解し合う二人に母親が訊いた。
「つまりね、小児病院なんでしょ?魔法とかそういうこと以前に、まずは子供達を、みんな一度に楽しませてあげられないかってこと」
 相原のセリフのそばで、レムリアが手のひらを握り、そして開く。
 ……何もなかったはずの手のひらにコイン。
「あらおもしろい」
「マジックたって魔法の意味だけじゃなかろうもん」
「その女の子だけって必要もないと思いますし」
「……なるほど、いいかもね。笑い喜びは最高の薬だと言うし。お見舞いマジックショーか。よし判った。母さんが動こう。病院に頼んでみるよ」
「よろしくお願いします」
 レムリアは頭を下げた。
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(つづく)

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