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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-016-

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「おなかいっぱいって?」
 相原は訊いた。止まって語り合う二人の脇を、間断なく、ゾロゾロと、一部邪険な目を二人に向けながら、人が行き交う。それはまるで、動いているのが当然で、止まっているのは非常識、そんな世界に迷い込んだよう。
 止まらない街。戻らない街。
「おなか……ああ、そういうことね、ふぅって感じなのは確かだね」
「嫌いなら戻るけど?」
「ううん、いい。香港とかマカオもこんなもんだもん。それに一度来てみたかったし」
「了解。でも注文していたパーツとか先に受け取りたいんで、気ままなぶらぶらはその後でよろし?」
「よろし」
 相原は進路を右に取り、総武線高架下の小店が建て込んだエリアへ向かう。レムリアは興味深げに相原の後を追う。
 それはれっきとした姫君が、普通の娘として秋葉原を歩いているという図である。彼女は既出の如く相当な美少女であり、現にすれ違いざま彼女に目を奪われ、その後も振り返ってずっと彼女を眺める者すらある。ただでさえ衆目を集めるのであるから、雑誌記事を知る人間が彼女を見れば、瞬時に当人と判じてもおかしくはない。実際相原は騒ぎが生じる可能性を少し憂慮したようだ。しかし、あり得ない人間があり得ない場所にいるせいもあろう、そのような事態が生じる気配は今のところない。
 警戒を緩めた相原の腕に、レムリアが自分の両腕を絡める。
「はう?」
 これは相原。突然の事象に目を見開き、少し頬を染めて。
「邪魔?でもこう人が多いと、こうしてないと迷子になりそうで……」
「まぁそうだけどだからって……」
「手ぇつないでるだけじゃ、びろーんと長くなって、かえって他の人に迷惑だと思うけど」
 無意識で罪作りな小悪魔、と書けばその状態の表現には適切か。
「……そやね」
 相原は苦笑して、高架下の“デパート”へ入った。
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(つづく)

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