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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-023-

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「変態商品」
 レムリアが言う。相原は素っ気なく、そう、と答える。
 店先に並ぶ同人誌、電信柱に立てかけられた看板、古ぼけた雑居ビルのガラスに貼られた宣伝ポスター。
 その筋のアニメでありマンガでありゲームであり。
 行き交う者たちは年齢は種々だがとにかく男が圧倒的に多い。彼女たちの姿はむしろ奇異ですらある。そのせいか、向けられる目線は多いが、その殆どはすぐに目線を外す。しかし中には、彼女らの存在に気付くや、露骨に舐め回すような目を向けてくる者もある。
 レムリアが眉をひそめ、身を縮めるような仕草を見せる。
 相原は自らそんなレムリアの腕を取った。
「ナイト?」
「昼だけどな」
「うわオヤジギャグ」
 少女達に笑み。少し雰囲気軽くなったその間に“そのエリア”を行き過ぎる。
 細い道を挟み、新しいビル1階の小綺麗なショールーム。
 ITバリアフリーの専門店とある。
 内装がサーモンピンクなのは色覚ハンディの方に対する配慮。
「すごい色」
「緑の黒板赤チョーク」
 相原はそれだけ言い、先に店に入った。
 レムリアは首をかしげたが、すぐハッとしたように頷き、由利香ちゃんと共に続いた。
「RGブラインド……」
「ざっつらいと」
「いらっしゃいませ」
 お姉さんが声を掛けてくる。
 点字キーボードを求めると幾つか出してくれる。
 由利香ちゃんがあれこれ試す間にレムリアは店内を見て回る。その後ろから好々爺のように相原がついて歩く。
「いろいろだね」
 店内にあるのは、主としてハンディを乗り越えてパソコンと接続し、意思疎通を図るためのアイテム。入力デバイスとしては点字の他、指先で、顎で、頭にセットして目線で、音声認識で。
 動かすとピピピと音を立てたり、ブルブル震えるマウス。マウスカーソル(画面の矢印)の位置にある文字を読み上げる機能。ワープロや表計算など、よく使うソフトのよく使うメニューだけを、外付けキーボードにまとめた物。
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(つづく)

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