【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-024-
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出力は一般的な読み上げソフトの他、骨伝導イヤホン、指先にはめるセンサーのような物もある。値段は簡単な物は安価だが、パソコン本体同等か、ヘタしたら遙かに上回るものもある。由利香ちゃんの探すキーボードは後者の類。だが、売り上げ数が限られるので仕方ない面もあろう。安く販売する、或いは安く購入できる補助が必要と感じる。
「この指紋センサーみたいなのは?」
レムリアが訊く。
「はめると、中にずらっと並んだ小さなピンがガシャガシャ押し上げられて、点字を構成する」
「なるほど……あ、すごい、これCDテキストの歌詞を読むんだ」
感心するレムリアに、相原は胸を張って腕組みをし、
「科学の発展は人の心を貧しくしたとよく言うけど、逆にこいつらは技術の結果として、ハンディ持つ方々のコミュニケーション手段として生まれた。それは心に翼をもたらした、とか言ったらかっこよすぎ?」
そのセリフにレムリアはニッと悪戯っぽく歯を見せ、
「うん、学が言っても激しく似合わない。でも……こんな店まであるとは、恐れ入りました秋葉原」
「ふっふっふ。どうだ参ったか」
「あんたが威張ってもね」
レムリアは笑った。この状況を楽しむように。
キーボードの選定が終わり、由利香ちゃんは購入に及んだ。ノートほどのサイズで、六つのパッドと、確定信号を送るパッドとで構成される。ドットにしたいところのパッドを叩き、次いで確定パッドを叩く、で、一文字送られる。パッドを叩く際には音が出、もちろん、音程でどのパッドを叩いたか判る。
(作者註:2013年現在、もうちょい進化している)
「お手数かけました」
由利香ちゃんがぺこり。レムリアは首を横に振り、
「ううん、秋葉原の知らない一面が見られておもしろかった。こちらこそありがとう。送るよ。お宅はどちら?」
由利香ちゃんの手をぎゅっと握って言う。
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(つづく)
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