【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-025-
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「あ、いいです。……あのありがとうって私何も」
「休みのひとときをありがとう。1日ずーっとこんなのと一緒かと思って気が滅入っていたところ」
「どうせオレは歩く変態商品だよ」
由利香ちゃんは笑った。
店を出る。歩行者天国の始まった通りを横切り、駅まで送る。電車に乗れば後は判るという。こういうアシストは、あまり手取り足取り先回りも失礼、という側面もある。
改札を抜け、ホームへ向かう彼女を見送る。
「さてレムリアさん」
由利香ちゃんの背中が見えなくなったところで、相原は向き直った。
「はい」
レムリアが相原を見上げる。
「お昼ご飯三択。新宿のオサレなお店でランチ、銀座のゴージャスな中華料理で飲茶、アキバで立ち食いラーメン、さあどれだ」
「立ち食い!」
間髪を入れずレムリアは言った。なお、オサレというのは“おしゃれ”のインターネットにおけるスラング。
「テッテー的に庶民派だね君は」
「姫様ですので」
ラーメン食べる部分まで描写する必要はあるまい。
食後二人は秋葉原を後にし、改札を通る。次なる行き先は新宿。
「何か買うの?」
「ショーの演出小道具。来れば判るよ」
駅で電車を待つ間に電話着信。相原の母親である。
「なんやろ」
相原は応じる。電車が来たがまぁ仕方あるまい。1本見送っても、次まで3分かそこいら。ここは東京。
「あいよ、どしたい」
『今どこだい』
「まだアキバ、新宿で買い物して帰る」
『あそ。病院の件だけど……』
母親は、病院のOKはもらったが、今日の4時に説明に来いと言われた、と話した。
その間相原はレムリアの目を見、レムリアも相原から目を逸らさない。
熱く見つめ合う男女といった案配だが実態は少し違う。
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(つづく)
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