【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-027-
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レムリアは納得し、寄りかかっていたドアを離れた。
電車が停車し、ドアが開き、二人は降りる。
代々木駅はホームのわりふりがやや特殊で、秋葉原から乗ってきたこの“総武・中央線各駅停車新宿・中野方面”は、“山手線原宿・渋谷方面”と、一本のホームを共用、両線の電車はホームを挟んだ両側に発着する。これにより、同各駅停車と原宿方面とが同一ホームで乗り換えが可能になっている。その筋の用語で島式ホームの両面に発着と呼ばれる状態である。ただ、本来両面発着を想定した構造ではないので、狭い。以下に図解を掲げる。
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【図解】
ホーム
総武線秋葉原千葉方向→
←総武線新宿中野方向
ホーム(二人はここに降りた)
山手線内回り原宿渋谷方向→
←山手線外回り新宿池袋方向
ホーム
その時。
「どけバカ!この……」
酒酔いであろう。粘っこく、ややロレツの回らぬ口調で発せられたその罵り語は、さっきの白い杖の少女が聞いたら傷付き悲しむ内容であった。
列車の到着アナウンスに混じり、あっ、という驚きの声がホームの人々からあがり、立ち止まってホームの下を見る数名の姿が見えた。
女性達の短い悲鳴、人体と人体がぶつかる音。
人々を押しのけて、何者かがこちらへ走ってくる。逃げてくる。
「(月よ我が友に差し迫る危険を排除する力を)」
相原があとで聞いたところによれば、レムリアがその時発したフレーズは、日本語でそんな意味になるという。なお、内容の性質上、乱用防止の観点から、原語での記述ができないことをご了承願いたい。
呪文である。
そう、彼女は単なる末裔ではない。
だから、相原は彼女を東京に呼んだのである。
男が現れる。
乱れた白髪の男であり、薄汚れた青いウィンドブレーカをまとっている。しわの刻まれた赤ら顔。その白髪はフケだらけ。
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(つづく)
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