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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-031-

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「ありがとうございます。由利香ちゃんジュース。飲んで。落ち着くから。……駅員さん、近所にレントゲンを備えた病院は?」
「さぁすぐには……調べてみないと……」
 駅員は首をかしげる。
「信濃町(しなのまち)行くか?」
 相原が言った。
 信濃町。それは代々木の2駅隣であり、著名な大学病院がある。
 その病院にレムリアは“撃たれて”入院していたことがあるのだ。
 ……追って説明する。やがて交わされるであろう『女二人の秘密の話を』記述すれば、事は足りよう。
「ああ、そうか」
 レムリアは両の手を叩いてぱちんと鳴らした。ちなみにこれは嬉しいとか、得心が行った時の彼女が見せる癖である。
 相原は駅員に病院の名を言った。
「それならタクシーを手配します。当駅からも連絡を入れておけば話は早いでしょう。……あと、警察はどうされますか?被害届とか」
「後回しにしてください。彼女は今痛いし、怖がっています。この場を離れたいし蒸し返されたくもないはず」
 レムリアは強い調子で駅員に言った。
 13の娘の物言いではない。最前線で臨機応変に“今何が必要か”考え続けてきた経験が放った言葉だ。
「わ、判りました」
 信念に基づく真っ直ぐな瞳に気圧されるように、駅員は答えた。
 タクシー待ちの間に由利香ちゃんはペットボトルを口に運ぶ。
 かなりの量喉に流す。
 それで少し落ち着いたようである。その間もレムリアは手を放さない。
「ごめんね」
 由利香ちゃんはレムリアの手を握り返し、小さく一言。
 レムリアは握り返した手を更に両手で包む。
「なんで謝るの?あなたは被害者だよ。そんな事言う必要は全くないよ」
「だって……迷惑かけてばかり」
「へ?友達じゃん」
 レムリアはけろっと言った。
「え……」
 由利香ちゃんは動作を止めた。
「あ、自己紹介してなかったね。私は姫子。この人のいとこ。よろしく」
 相原はフッと笑ったが、さすがのレムリアもそんな相原には気付かなかったようである。
 自己紹介する前に友達になるヤツがあるかい!
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(つづく)

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