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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-032-

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 由利香ちゃんの手首の診断は“左手尺骨(しゃっこつ)の骨挫傷(こつざしょう)”であった。端的に言えば“ヒビが入る一歩手前”である。
「だったら普通に湿布していれば治りますね」
「そう……ですね。これは……」
 若い医師とレムリアが液晶モニタの画面見ながら議論。映し出されているのは3次元レントゲン。飛び交う専門用語。
 ちなみに、医師は普通看護師にこう懇切丁寧に説明しないが、レムリアの場合は医療ボランティアに所属しているせいか、ついでだから知っておくといいぞ、みたいなニュアンスで、所見とそのわけを説明してくれる医師が多いとか。
 中略。
「湿布と痛み止めを処方しておきます。お嬢さんよかったね。骨折にはなってないよ。それに何より、この彼女に見つけてもらったのは幸運だった。彼女は……知ってるかな?“国際自由意志医療派遣団”の看護師だからねぇ」
「え?」
 由利香ちゃんは包帯を巻くレムリアに顔を向けた。当該、“派遣団”は、レムリアが所属するボランティア団体の名称。
「だって13歳って」
「そうだよ。でも試験受かった。外国だけどね。日本だと准看護師に相当」
 レムリアは答えながら、医師に向かって人差し指を口に当て、“しーっ!”とやっている。
 実は先に触れた入院後、彼女の正体は冒頭の雑誌から病院中が知るところとなり、“姫様だった”と語り草になったという。
 そして今日、突然その伝説の少女が現れた。この整形外科の医師は、一目で彼女が彼女と判った、と言った。
「すごいんだね。あなた」
「恵まれた環境でのほほんと育つのがいやだった、と言ったらカッコつけすぎ?」
 レムリアは言いながら、由利香ちゃんの腕を取り、立ち上がった。
「じゃぁどうもありがとうございました。……小児科病棟に寄って帰りますね」
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(つづく)

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