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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-036-

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 固辞するのは不自然だし、彼女が負担に思うのは確かであろう。二人は彼女の家で選んでみる事にした。住所は都内だが多摩地域。相原家の最寄り駅に近い。要するに帰る道すがらである。
 由利香ちゃんは電車に乗る前に、自宅に連絡を入れた。杖を折ってしまったので送ってもらう……。
「人の多いところに行くからだとさんざ怒られました」
 由利香ちゃんは舌をぺろっと出した。
「でも、便利な場所ってたいてい人が多いんですよね。それに大体……」
 代々木は、母親が薦めた“気功”治療院に通うためだと、彼女は頬を膨らませた。
 電車がその代々木に止まり、そして発車する。
 新宿で特別快速に乗り換える。“特別”と冠がついてはいるが、車両がゴージャスなわけではなく、特段高速なわけでもない。オレンジストライプを巻いた銀色の通勤電車。
 土曜の昼下がりである。優先席に、彼女の席だけは確保できた。
「素朴な質問だけど、気功ってどんなのなのなの?」
 レムリアがどちらにともなく尋ねた。彼女の出自は西洋の魔法の国である。東洋の神秘を知らなくて当然。ただ、おそらく理解は早い。
 なお、彼女のセリフは、書き間違えたわけではない。
 相原が説明を買って出る。
「端的には身体の中の超自然エネルギーの流れを整える。あるいは自分のを注入する。君的には“月からの流れ”がそれに当たると思う。それのこっちの呼び名が“気”。雰囲気なんて言葉に付いてる気の字はこの気から来ている。気が合うとか気に入るとか、精神状態を意味する気も恐らく同じ」
「ふ~ん、どんな風にやるの?」
 この問いには由利香ちゃんが、
「私が行ってる所では、右の手のひらをお腹の辺りに、左手を背中に、で、“気”を入れる」
 由利香ちゃんは自分の身体に手を当てて示した。
「こう?」
 レムリアは隣に立つ相原を使ってそのようにした。人体実験。
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(つづく)

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