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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-039-

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 老婦人は言うと、到着のアナウンスに席を立とうと、ステッキに力を込めた。
 電車のブレーキがぐっと強くかかる。
「へたくそ」
 相原が言い、そのブレーキ操作から予見したか、立とうとした老婦人に腕を回す。
 果たして婦人はバランスを崩す。
 とっさに、しかも相原より早く、由利香ちゃんが老婦人の肩に手を回した。
 次いでレムリアが前へ。相原は二人に任せるとばかり腕を引っ込めた。
「大丈夫ですか?」
 女の子二人同時。
 レムリアは老婦人の両の手を取り、その目を見つめる。
 夫人が見返す。目線と目線がしばし行き交う。
「ああ、これは辛いですね……由利香ちゃん肩の手そのまま。強張りがあるでしょ……」
 レムリアは言うと、左手は老夫人の手を持ったまま、右の手のひらを手首に、肘に、膝に、素早く走らせ、ふわりと触れた。
 電車が止まる。
 レムリアは婦人の手をどうぞとばかりに引いた。
 婦人はその目を大きく見開いた。
「大丈夫です。怖いようでしたらゆっくり」
 電車のドアが開く。レムリアは夫人の手を取って、そのドアへ誘う。
 夫人は恐る恐る両の足で立ち、ハッと気付いたように背筋を伸ばし、歩き出す。
 ステッキを使わず。
「あなたは……」
「お薬はきちんと。食事は栄養のバランスを考えて。規則正しい生活を心がけてください。そして病院には、改善状況を確認に行く、位の気持ちで。治してもらうのではなく、治らないと諦めるのではなく、治すという強い意志を持って下さい」
 レムリアは夫人から手を離した。
 夫人はそのまま、ステッキを使うことなく、車体とドアの段差を越え、ホームに降り立った。
 何か言いたげに振り返る。何か口にしたかも知れない。しかし発車メロディの電子音で何も聞こえず、電車のドアが閉まる。
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(つづく)

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