【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-041-
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「由利香、まったく心配させて……そのお友達は?」
二人は店外で会釈。
「どうぞどうぞお入りください。わざわざどうもすみません。あの、店番があるので申し訳ないんですがこちらで」
母親はちゃぶ台をその2畳のスペースに出し、お茶を用意した。
事の次第を説明する。レムリアは自らを相原姫子と名乗り、由利香ちゃんが知ってるのと同内容……看護師でボランティア団体に所属……まで話した。
「看護師さん?その歳で看護師さんなの?由利香と同い年で?」
果たして母親は当然と言うべきか、驚愕の反応。
「ええまぁ。それで由利香さん、杖がない以外に、一人で電車にというのはちょっと怖いかなとも思いまして、厚かましくもお送りさせて頂いた次第です」
「いえいえ助かりました。本当にもうなんと申し上げてよいやら」
「そんなお母様。友達ですもん」
「友達……」
畳に手をつこうとした母親は、意表を突かれたという顔で言い、レムリアを見上げた。
由利香ちゃんもそうだが、この母子の“友達”というフレーズに対するこうした反応は、母子の持つ“友達”のイメージと、レムリアの言動とに、大きな差違があることを意味する。
「それでねお母さん」
由利香ちゃんがマジックショーの事を話す。
「ああそれでしたら幾つかありますのでお持ちください。今後もなされるでしょう。差し上げます」
「あのお母様そこまでは……」
レムリアは首を横に振り、押しとどめるような形に両の手を出す。
「いえぜひ。あなた様方は娘の命の恩人です。しかも娘がこんなに楽しそうに誰かの事を話した事なんてない。ぜひ使ってください。日本中の、世界中の子供たちが、私どもの衣装を着たあなた様によって楽しんでくれる。これ以上の幸せはありません」
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(つづく)
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