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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-047-

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 笑顔を伴うでなく、お高くとまった感じで言い放たれたそのセリフは、レムリアを小馬鹿にしているニュアンスを含む。
「子供達に親近感を持ってもらえればと思いまして」
 レムリアはまずは無難に返す。但し目は婦長を見ない。
「同情の押しつけなら、要らないのよ」
 二人は、婦長の態度と、その裏の意図を解した。
 “お義理な施し”……マジックショーの趣旨をそう曲解したのだ。
 歓迎側の態度じゃない。更に言えば上意下達で仕方なく従っただけ。そんな背景すら読み取れる。
「そうですね」
 レムリアは斜め彼方に視線を向けた。
「子ども達鋭いですからね。そうと見抜けば、多分みんな病室へ帰ってしまうでしょうね。廊下に出て遊ばずとも充分楽しい病室みたいですし」
 彼女一流の逆襲であった。“子ども達鋭い”というフレーズには、言外に“自分もそうした鋭い子どもの範疇”という意図を含む。すなわち、
 “アナタの意図は私にはお見通し”
 しかし婦長には通じていないようである。レムリアのセリフを“敗北覚悟宣言”とだけ受け取ったようだ。
「ええ、子ども達はドライですよ。表面的なのは見抜きます」
「わかりました。判断は子ども達に任せたいと思います。本日は院長先生のお招きでご挨拶に伺いましたので、婦長さんにも是非にと参った次第です。お忙しいところをお手間取らせました。申し訳ありません。明日(みょうにち)はよろしくお願いいたします。失礼します」
「ああ、そう。頑張ってね」
 レムリアは頭を下げると、ナースステーションに背を向けた。
 もう顔も見たくない、そんな風情。
「では……」
 相原と堺さんはそろって婦長に会釈し、ナースステーションを後にレムリアを追う。
 と、右方病室のドアが開き、女の子が一人。
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(つづく)

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