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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-053-

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「そういえばお父様は?」
 レムリアはハッと気付いたように座卓を見回し、箸でも数えたか、訊いた。
「死んだ」
 相原はあっけらかんと言った。
「は?……」
「ああ話したことないもんね。君が信濃町退院して少しだったかな。交通事故。夜遅く横断歩道歩いていて信号無視の酔っぱらいに突っ込まれた。よくあるパターン。折角難病治してこっちはポカーン」
 相原は人ごとのように喋った。レムリアの瞳から、見開いたままの瞳から、頬を伝う雫がひとつ。
「おいおい」
「ごめんなさいあたし……だって私の入院先に信濃町を選んだのはそもそもお父様の難病を治したからって聞いてたから……」
「いいんだって。そら直後は相当応えたよ。でも母親にとって俺しかいねーんだって自覚がそんなもん吹き飛ばした。男って失恋には女々しいが、こういう方面は逆に冷徹かも知れんね。変な話だけど、太古、部族間で闘争を繰り返していた時代には、いちいちメソメソしてる暇ないもんな。その遺伝子かな、と思った。背筋を伸ばして大学を卒業し、無事就職しましたとさ」
 レムリアは涙をぬぐいながら笑顔を作った。相原が本当に父の死を引きずっていないと理解したようである。
 母親が戻り、涙目のレムリア発見。
「……我が子息は私がいない間に姫ちゃんに何かする癖があるようだね」
「アホぬかせ」
「すいません。お父様の話を伺ったもので」
 レムリアのセリフに、母親は小さく笑った。
「そうだったのかい。泣いてくれたんだ。ありがとね。でも、私らは大丈夫だよ。男の子ってね、一瞬で父親になるんだ」
「よせやい」
 相原は言い、ウーロン茶のグラスを片手に後ろを向いた。
「照れるぜ」
 外を見ながらぐいっとあおる。
 バカである。
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(つづく)

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