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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-056-

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 レムリアはぺこっと頭を下げた。
 今の彼女の素直な気持ちであろう。ただいわゆる恋心とは少々ベクトルが異なると思われる。相原に対する彼女の気持ちは明らかに依存の比重が高く、それはむしろ兄や父に対する感情に近い。
「だってよ学。こらこっち向け」
 相原は応じない。が、どぎまぎしている顔が障子ガラスに映っている。
 母親はレムリアに目を戻す。
「遊びに来るのは全く構わない。合い鍵を渡してもいい。あなたはいい子だ。でもひとつ、条件を出していいかい、姫さん」
 母親は言った。
「……ええ。はい」
 レムリアはまっすぐ母親を見返す。
「小悪魔でいなさい」
 母親は言い、狡そうに笑った。
「は?」
「少なくとも私の知る限り、この変態商品が家に女の子を連れてきたことなんて、宇宙創生138億年間で刹那の一瞬たりともない。ちょっと進みそうかな思ったこともあったけど、フラれてぴーぴー泣いてたしね。要するに頼り切れないんでしょ。親の私から見てもこいつ甲斐性無いからね。寄りかかって安心出来そうに見える?ないでしょ?針の先のダニの糞がいい勝負。
 だからツレなくして、徹底的にツレなくして、コイツが持っているであろうオンナに対する幻想と思いこみを徹底的に否定してやんなさい。優しくすると、つけあがると思って」
 フラれて泣いて甲斐性無し……さすがに相原が向き直った。
「そこまで自分の息子否定するか?普通」
「就職おめでとう。でも研修生の分際で何を言う。偉そうなことは親の巣に居候してないで、一国一城の主になってから言うもんだ。彼女は自活している。人の命を助けるという技を身につけている。あんたはどうだ。以上」
「ぎゃふん」
 擬態語を発し、拗ねて後ろを向き、タタミのケバを毟り始めた相原の背中に、レムリアは笑った。
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(つづく)

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