« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-056- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-058- »

【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-057-

←前へ次へ→
.
 その後食事が運ばれたが、母親は父親と付き合っていた時代、いかに当初父親が頼りなくて、自分が小悪魔になって夫を鍛えたか、こんこんと解説した。レムリアは笑いながら、一切れ1200円の西京焼きをおいしく食べた。たかだか魚の切り身に1200円。含まれるタンパク質が何か特殊と言うことはあるまい。この価格は文字通り“おいしく”食べるためのコストなのだ。食べること自体は当たり前・当然という前提の元、それを楽しむ方面が有料化した物である。
 味のためにカネを払う。そういう余裕が日本にはある。
 つくづく平和な国だとレムリアは思った。同じ気配を相原や、彼の好きな街秋葉原にも感じる。平和ボケとののしるなと相原は言うが、その安心感がとても心地よい。平和ボケ上等ではないのか。
 思い出し笑いをするように、ひとり微笑むレムリアの隣で、相原はレアの和牛をつついていたが、美味であったかどうかは、定かではない。
.
-7-
.
 翌日。
 マジックショーは3時の約束だが、由利香ちゃんの家から誘いのメールが入り、二人は昼食に間に合うような時間に出かけた。曰く、前日に電車の中でレムリアが発揮した“気功”の能力が絶大であり、彼女の母親が話を聞きたいという。
 駅前の100円パークに車を止め、店を訪れる。
「ごめんください」
 引き戸をガラガラ開けるが反応無し。売り場には母子どちらの姿もない。
 奥の方から声が聞こえる。
「……別に」
 由利香ちゃん。つまらなそうというか、機械的な応じ方。
「気功の方は、どうですか?」
 ソフトな感じの男の声である。“押しつけがましくないテレビショッピング”相原はそんな感想を抱いた。
「……全然。こう言ってはアレですが、私の友達の方がすごいです。体中が温まります」
 その声音は急に力を帯びた。
「ほう、ではその方もこの……」
 男はナンタラというキノコの名を口にした。その友達……レムリアも食ってるから気功の能力があるのだという。
 これにはレムリアが瞠目。
「ほう」
 相原がぼそっと。そして腕組みして。
「典型的な健康詐欺だ。キノコ屋と気功屋が結託しとる」
 そのセリフに、レムリアは相原を見上げ、次いで声のする方を凝視した。それがあっちで行われていること?
 相原は頷いて見せた。由利香ちゃんの目にかこつけて、効きもしないキノコを売りつけ、気功に通わせるという手口だ。
 ハンディを食い物にする卑劣行為。
 果たしてレムリアは少しの間凝視した後、ゆっくりと頷き、動いた。まず、開けた引き戸を大きな音が出るように強めに閉める。
「こんにちはー。由利香ちゃん姫子だよー」
 程なく、母親が奥から現れた。
「どうもどうもごめんなさいね。お客様が見えてて……」
.
(つづく)

|

« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-056- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-058- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-057-:

« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-056- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-058- »