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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-059-

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「その説明の前に論より証拠、これを……ちょっと失礼、ご覧頂けるかな」
 理詰めには実例と権威で……ということであろうか。営業マン氏はやおらスーツとワイシャツをめくると、自らの腹部を露出した。
 そこには傷がある。胃袋の斜め下、位の場所であろうか、1本筋で、筋の両脇には赤黒い点々が幾つか並んでいる。手術で縫合した痕ということであろう、指でなぞって見せる。
 次いでその指を黒革カバンに入れ、診断書と書かれた紙を、王の勅令でも扱うように恭しく取り出した。
「お嬢ちゃんならそれ読めるわけだよね」
 営業マン氏が出したそれをレムリアは受け取った。営業マン氏の表情は、さながらジョーカーを切ったディーラーのように得意げ。
 対しレムリアは手術痕と診断書を数秒ずつ見た。
「だから?」
 答えはこれ。
「は?……なんだお嬢ちゃん読めないのかい……」
 営業マン氏が浮かべた勝ち誇った表情……が次の瞬間凍り付く。
「Duodenal Ulcer……十二指腸潰瘍ってのは判りました。迅速ウレアーゼでピロリが出ましたと。ピロリ腹に抱えてること自体は不思議じゃないんですけどね。治ったですか。よかったですね。で?これが彼女の目と何の関係があるんですか?」
 レムリアは診断書を、不要チラシでも扱うように指先でビシバシ弾いて文字通り“指弾”した。
 徐々にシワが増えて行く診断書を相原が上から覗き込む。診断書に書かれた医院の住所が代々木駅至近であることに失笑。
「あなた、何か疑問でも?」
 営業マン氏はアウトローの目を相原に向けた。
「いいえ、ただ、ピロリで十二指腸潰瘍になるのと、Hib(ひぶ)とが何で同じ土壌で語れるのかと」
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(つづく)

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