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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-060-

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 相原はそれだけ言った。ピロリとは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因として名高いヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter Pylori)のことであり、迅速ウレアーゼはピロリ菌の有無を検査する簡易な方法の一つである。また、Hibはそれこそ由利香ちゃんを失明に至らしめた感染症の主因たる病原菌の名前。相原はレムリアから聞いて知ったが、敢えて略号のまま言った。
 Hibが何であるか知っていれば、レムリアの質問に対する答えとして、営業マン氏の口から出てきてしかるべき語であるからだ。
 しかし。
「で、これで?あなたはピロリがキノコと気功で消失したと、こう申されたいわけですか?」
 レムリアの方が先に動いた。
「ええ、そういうことです。ですから……あっ」
 レムリアは営業マン氏に二の句を継がせず、不要チラシを握り潰すような仕草をして、“診断書”をそのままかき消した。
 取り戻そうとした営業マンの手が宙を掻き、その目が剥かれる。
 その虚をレムリアの舌鋒が突く。
「結論から申しましょうか。彼女に勧める理由にも証拠にもならないですよこれ。あなたがもし万が一仮に百歩譲って本当に十二指腸潰瘍に罹患して治ったのだとしても、それとこれとは病理が全く違う。で、答えて頂きたいんですが、それが彼女にはどう作用するとおっしゃるので?答えになってませんよ」
 営業マンは即答を避けた。
「ですから」
 一呼吸置いて。
「説明が不足したかも知れませんが、これは保有する豊富な栄養成分が気功との相乗効果で自然治癒力を高めるんです。身体自身の治そうとする働きを活性化させる。私のはその結果の一例としてご紹介しただけです」
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(つづく)

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