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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-061-

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「あなたこそ言ってることが判ってませんね。その自然治癒力によって細胞が再生するなり病原菌が駆逐されるなりするわけでしょう?彼女の場合具体的にそれがどの組織に起こるのか、説明してくださいと申し上げているんです。相棒も申しましたがHibに作用するならすごいことですからね。で、その肝心なキノコの豊富な栄養成分、拝見しましょうか」
 レムリアは言うと、手の中から何か取りだして広げた。
 丸めた診断書……否、キノコの販売パンフレットである。デカデカとキノコの写真があり、医学博士某のコメント、含まれる成分の化学式、下の方には体験談が載っている。相原の見る限り化学式はどう見ても炭水化物とタンパク質であり、要するにありきたりな栄養素に過ぎない。
 いつの間に、という表情が営業マン氏と母親の顔に浮かぶ。しかしレムリアは止まらない。
「えー『含まれております核酸は、細胞の元である染色体の構成物質です。これが、有機ゲルマニウムなどと総合的に作用しあうことにより、信じられない相乗効果』……難しい言葉並べれば誤魔化せるとお考えですか?細胞は染色体が直接の材料でできてるわけじゃないし、総合的な作用ってモノスゴイあやふやですけど具体的になんですか?何かと何かのシナジーでより高い何かが得られるって事でしょ?何が起こるんですか?」
「それが自然治癒力です」
「ということは、治癒という結果に着眼した場合、服用しない場合と有意な差があるわけですね?だとしたらそれ臨床的にデータ取れますね。取れるはずですね。治癒という言葉を使う以上、そういうデータ揃えて許可得ないと法に触れますもんね」
 法。この文言に営業マン氏から舌打ちが、小さい音ではあったが洩れた。
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(つづく)

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