【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-064-
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「そ……そうですか」
母親は頷いた。が、表情はキツネにつままれたよう。
仕方あるまい。言い争いに続いてレムリアが見せたのは、一般的には“超常現象”である。このギャップはあまりに大きく、突拍子もない。
順序立てて説明した方が良さそうである。レムリアはHibというフレーズに男が飛びつくかどうかで反応を見た、と、まず言った。Hibはヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae Type b)のことである。略してHib、ローマ字読みしてヒブ。由利香ちゃんの視力を奪った直接の原因……幼い頃の高熱は、これの感染による。彼女はこの結果視神経を損傷し、視力を失った。ちなみにこのことから判るように、彼女の視力に作用を及ぼすのであれば、視神経の回復という答えが必要になる。従って仮に男がHibを病原菌と認識し、それを自分のピロリ菌と同様に何とかすると主張しても、それは視力の回復自体を意味しない。すなわちHibに反応しなければウソツキ、反応してもHibに対する効能を謳うのならば、内容をよく判っていないということでやはりウソツキ、となる。要するに二重のワナを仕掛けたのだ。なおここで、Hibの名称に入っている「インフルエンザ」という文言は、流行性感冒の病原ウィルスとして余りに著名な「インフルエンザ」とは全く別物(発見時の勘違い)であるので注意されたい。
「要するに姫ちゃんがインチキ追い払ってくれて、二度と来ないように魔法かけたわけね?」
由利香ちゃんが、合点が行ったらしく要約し、笑顔を見せた。
「まぁ、そういうことになるかな?」
レムリアは苦笑した。“魔法”というフレーズにちょっとドキッ。
と、母親が居住まいを正し、恐縮の表情。
「……何かもう何と申しましょうか重ね重ねどうもありがとうございます。……でも、それってことは、由利香の目はやっぱり……」
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(つづく)
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