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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-067-

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「そんなことを言う人間は、言われた人がどれだけ傷つくか判ってない。つまり人の心の判る人間なんかじゃない。だから当然、心だけの存在である霊など判るわけがない。私はそう思います。誰かが悪いわけでも、何かが悪いわけでもありません。ただ、そのおかげで、私は、由利香ちゃんと出会えました」
 レムリアは言い、母の瞳を見つめた。
 母は、レムリアを見返した。
 その母の瞳が見開かれ、涙が堰を切ったようにとめどなく溢れてくる。レムリアは傍らに少女を抱きながら、他方の手を母へと延べる。相原は何も言わず、そうして手を取り合い、或いは見つめ合う女性達の有り様を、少し距離を取って見ている。
 レムリアは今、この母子の心に押しつけられ、重石のように居座り続けた責任感と罪悪感、「迷惑掛けてばかり」と言わしめた心理すらも、汚泥を流す清流のように押し流し、涙として体外へ取り払ってしまった。
 少しの時間が流れた。
 涙が収まるまで待って、レムリアは静かに、そして少し厳かに、口を開く。
「手当という行為を、キリストを例に、気功や難病完治の事例と比較してみます。福音書の記述では一瞬で治ったことになっていますが、ひょっとしたらそれは文書(もんじょ)化する際の誇張で、実際には少しずつ治っていったのかも知れません。むしろその方が普通でしょう。そして、キリストの行為自体は、神サマに直結した人ですから、そこから与えられた霊的なエネルギーを、その男性に流したのだ、と解釈してほぼ間違いないと思われます。するとここに、体のバランス回復、及び、彼に出会ったという超絶の体験によって心の持ちようが劇的に変化、“どうでもよくなっちゃった”の域に達し、その結果、自然治癒力が驚異的に活性化され、生まれつき失われていた視力を得た、というシナリオが描けます」
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(つづく)

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