【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-075-
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両の足を交差させて上半身を折り曲げ、シルクハットを持った腕を、円を描くように動かし、頭を下げる。
重病の少女と、近い年代の少女達によるボランティアのマジックショー。しかも一人は視覚にハンディを持っている。
“絵になる”と踏んだのかも知れぬ。鳴りを潜めていたシャッターが連続して切られ、フラッシュが焚かれた。
信じられない出来事が起こったのはその時である。
「あんた、邪魔だぜ」
最年長であろうか、小学校高学年、という感じの、男の子が言った。
頭髪が抜け落ちているが、強い薬の副作用である。
静まりかえる。カメラマンに向けられる子供達の視線。彼がこの場で唯一“浮いた”存在なのは確かである。子供達は確実に楽しんでいるのだが、そこをオトナの勝手でちょこまか動き回られては、興を殺がれる。
うつむくカメラマン。しかし、レムリアは振り向くと、言った。
「どうぞ」
女の子のベッドに寄り添い、揃ってカメラに顔を向ける。
「ああ、悪いね」
カメラマンはぎこちない動きでしゃがみ、カメラを向け、ピントを合わせ……。
「(意図したこと形をなさず。流れとどまらず光よそそげ)」
耳元で聞こえたであろうレムリアのつぶやきに、ベッドの女の子は目を見開き、レムリアを見た。
シャッターが切られた。
カメラのレンズの部分から、ポンとオモチャの花が飛び出た。
「えっ?」
大爆笑。
カメラマンが慌ててカメラを見回す。再びシャッターを切ると、今度はストロボ発光機から、びっくり箱よろしくバネ仕掛けでピエロの指人形が飛び出した。
「失礼しました。まぁ、そんな血眼にならず、ひととき楽しんで行っては下さいませんか?」
レムリアは笑顔を見せて言うと、花と指人形がびよんびよんしているカメラを受け取り、自分のシルクハットに収めた。次いで由利香ちゃんの持っているシルクハットから、別のカメラを出して記者に渡した。
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(つづく)
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