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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-078-

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 その物言いは、ある程度説得力を持つように聞こえるが。
「そうだと思うのなら何故このイベントをお認めになったのですか?来られない子に判らなければやっていいと?」
 レムリアは刃向かった。
「わけが判らない。受付は二つ返事。院長は無関心。そして婦長さんは……。だけどカメラマンがスタンバイ。一体どうして欲しかったんですか?マジックショーが“あったことにしたかった”だけですか?子供達が楽しそうにしてるの悪いことなんですか?それこそ神様は何をお望みなのでしょう」
「あんた、“ロッテンマイヤー”かい?」
 レムリアに続き、苦言を呈したのは、壁に寄り掛かって見ていたカメラマン氏。
「……な」
 予想外の人物から意表を突いた発言を受けたせいであろう。婦長は言葉が出ない。
「知らんのか。小児病院の看護婦が」
 じゃぁしょうがねぇとばかりにカメラマン氏が苦笑する。読者各位におかれては、名作“ハイジ”において、アルプスの少女ハイジを些細なことで厳しく叱りつけ、束縛する女史であることはご承知であろう。
「そ、そんなことはありません。見ました……テレビで」
 婦長のセリフはボリュームが尻すぼみ。
「アーデルハイド!」
 アニメにおいて、同女史がハイジを叱りつける際の口調を男の子が真似する。
「アーデルハイド!。廊下は静かに歩きなさい。神様が見てますよ」
 別の男の子が追従し、みんなして笑う。なおそれは、子ども達が普段婦長に言われていることを、アニメの口調で言い換えた物であると容易に推察される。
 昨日出会った女の子の反応の理由。……神様に対してとんでもない責任転嫁。
「あんたのやってることは、ハイジを知ってる人間のすることじゃないな」
 カメラマン氏は言い、立ち上がった。
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(つづく)

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