【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-083-
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それ自体は、恐らく、災害時などに備え用意していたのだろう。そして、どうやら……あってはならないことだが、通常の診察・治療に用いる除細動器を借り出す許可が取れず、これを持ってきたらしい。
と、看護師達の間に一瞬躊躇。
その理由をレムリアは大体読み取った。呼吸を高木看護師に代わってもらう。
「勝手に使ったのは部外者の私ということで。凄いですね。人命すらも合理化の対象ですか。それともとりあえずの搬送先が無い?」
レムリアは相原と同じ皮肉を言い、さっさと装置の封を開き、パジャマの下にシール状の電極をセットし、ケーブルを繋ぎ、電源を入れた。まいかちゃんの担当看護師に年齢を再度確認し、性別をセットする。
合成音声。『今から心電図を解析します』……各自まいかちゃんから手を離し、ベッド付属の電気装置のケーブル等も外し、心臓マッサージも一旦停止。
解析が終了。心室細動という判定。
「大丈夫」
レムリアはひとこと言った。
『徐細動処置を行います』
ボタンを押せの指示が出、当該のボタンが赤く点滅する。
「みんな離れて。そして祈って」
レムリアはボタンを押した。
AEDが作動。ブザーが鳴り、まいかちゃんの身体が大きく動き、そして戻る。
そのまま少し。
心電図が再度解析される。
多少の乱れの後、レムリアは心臓マッサージを再開しようとし、その手を引っ込める。
一定のリズムを刻んで波形が描かれ始めた。
成功。問題ない旨の音声。医師を呼べと繰り返す。
この際看護師達に瞠目(一回で蘇生したためか?)が見られたが、レムリアは気付いていない。
由利香ちゃんが手首を握る。
「脈拍感じます」
それから程なく、まいかちゃんが大きく音を立てて呼吸を再開した。
脳への血流が滞ったせいもあり、意識まで回復したわけではない。ただ、呼吸心拍とも安定しており、危機を脱したのは確かである。
レムリアは子ども達にVサインを作って見せた。
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(つづく)
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