【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-085-
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院長は戸惑いを含んだ笑み。
「おいおい何で君がそんなに怒ってるんだ?君は関係ない……」
「CPR主導したの彼女です」
まいかちゃんの担当看護師が言った。
「……は?」
院長は首をかしげつつ、何をバカな?という表情で担当看護師を見返す。
「バイタルの確認、一次蘇生の着手と内容、大変場慣れした手際でした。婦長にも確認頂き、そのままCPRを」
担当看護師は正面から院長の視線を迎えて言った。資格の有無よりも、腕は確かかどうかで彼女に任せた、と言ったのだ。
「いいえわたくしは認めた覚えはありませんよ!」
婦長が戻り、戻るなり、全否定した。
「全てはこの少女の勝手な行動です。……ったく、蘇生したからいいようなものの。素人が……」
レムリアは夫婦であるという二人を見た。
怒りではない。哀れな者を見る表情だ。
「帰りたまえ」
院長は唐突にレムリアに命令し、エレベータホールの方向を指さした。
「……君は医師でも看護師でもない素人なのに勝手なことをしたんだ。事故が起きたらどうするつもりだったんだ。冗談じゃない」
「そうですよ。勝手に」
婦長が便乗する。無論、表向きの理由はそれだが、実際にはレムリアの行動は病院を出し抜き、コケにしたことになる。
……病院が、“まいかちゃんに心停止が生じる”、という事態の事後を、どう考えていたか、明確に書く必要はあるまい。レムリアはその“見通し”を覆したのだ。院長が“プライドを傷つけられた”と捉えても不思議ではない。
結果、強権発動。高木看護師が何か言いたげに息を吸ったが、
それより先に声を上げたのは子ども達だった。
「あんたが帰れよ院長」
「そうだよ。このお姉ちゃんまいか姉ちゃん救ったんだぜ?放っておけってのかよ?」
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(つづく)
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