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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-087-

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「だってあなたは、いいえ、あなた様は本当は……」
「彼女になるべく長く、プリンセスの時間を、お願いします。そのために、今回神様は待ってくださった。そんな気がします」
 レムリアの言葉に、シスターは、目を見開いた。
 涙がこぼれる。
「判りました。ええ判りましたとも。これは確実に彼女に」
「よろしくお願いします」
 レムリアは頭を下げ、由利香ちゃんと共に部屋を出ようとした。
「ああ彼女ちょっと待ってよ」
 カメラマン氏。
 レムリアは立ち止まり、振り返る。
「はい?」
「記事に……していいかなぁ。病院の提灯持ちじゃなくて新聞の地方版でさ。こんなドラマチックなことそうそうない、奇跡を見た思いだ。あ、君の写真を出そうとは思わないよ」
「ここは、子どもがいるべき場所じゃない」
 レムリアはそれだけ言い、歩き出した。
「えっ!?」
 論理の繋がらない唐突なセリフに、カメラマン氏は返す言葉がなかったと見える。しかし、氏は更に彼女に話しかけようとはせず、そのまま見送った。
 その代わり。
「彼女、最後に一つだけ。名前は?」
「相原姫子」
 レムリアは振り返ることなく、それだけ背中で言い、早足で歩き去った。
 呆然と見送るカメラマン氏の脇を、相原と堺さんが、それぞれちらりと頭を下げ、レムリアの後を追う。
 レムリア達はエレベータに乗って降りた。しかし、追記しておかねばならぬ事がある。
 レムリア達とほぼ入れ替わりに、ショルダーバッグを下げた女性がひとりエレベータから降り立ち、焦燥の面持ちで走って来た。
「まいかは。まいかは!?」
 女性は走って来ながら名を呼んだ。
 まいかちゃんの母親である。
 カメラマンがそれと気づき、室内のシスターに声をかけた。
「大丈夫ですお母様。まいかちゃんは大丈夫です」
 シスターが言った。事態が事態ゆえ、誰かが連絡したのだろう。
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(つづく)

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