« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-093- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-095- »

【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-094-

←前へ次へ→
.
 肥大化した空港を見送り、都県境のトンネルをくぐり。
 そこで相原は湾岸線から離れてジャンクションへ入る。絡んだ紐のような立体交差をぐるぐる走り、一瞬、月を正面に捉えたかと思うと、トンネルに入る。
 高い天井、長いトンネル。
 同じ道を行くクルマは少ない。
「長いトンネル」
 レムリアが久々に声を出した。
 身を起こし、前を向く。少し気持ちに変化があったか。
 トンネルを抜ける。
 勾配を駆け上がると、ビルに埋もれたオレンジの道……ではない。都心とは異なる空間。
 そこは、海と夜空と月明かりの中、場違いに人工物を入れ込んだ、そんな場所。
 東京湾横断道路……通称アクアラインの海底トンネル出口に作られた、海の上のパーキング“海ほたる”。
「へぇ」
 レムリアの瞳が青白く輝く。ライトアップに使われている高演色ランプの光芒を捉えたのである。レストランやアミューズメントの入った施設ビルは、船を模した形。
 施設ビル内の駐車場にクルマを止めると、レムリアは促すまでもなくクルマを降りた。
「屋上へ出られるけど」
「うん」
 展望デッキへ出る。春の夜であり、満月の光は黄砂を横切るせいか柔らかい。が、海を行く風は決して柔らかくも暖かくもない。
「預かって」
 相原はそう言って、スーツのジャケットをレムリアの肩にひっかけ、フードコートへ向かう。
 ジャンクフードを手にして戻る。レムリアは左手より月明かりを浴びて展望デッキの手すりにあり、東京湾の入り口の方を見ている。
「食べる?」
 相原はレムリアの隣に少し距離を取って寄りかかり、アメリカンドッグにカラシを塗って差し出した。
「ありがと」
 レムリアが手を出す。潮風が二人の間を行き、彼女の髪がなびいて頬を撫でる。
 彼女はその髪を右手で押さえ、ドッグを頬張る。
.
(つづく)

|

« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-093- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-095- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-094-:

« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-093- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-095- »