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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-096-

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 シャンポリオンについては解説する必要はあるまい。
「だから私はあきらめるのは嫌い」
 レムリアは言い、放電灯の届かない海の彼方を見た。
「カッコいいじゃないか」
「嫌い、なんだけど……」
 レムリアがそこで相原に見せた顔は、今にも涙が溢れ出しそう。
「ウリヤの忠誠の方はどういう意味だい?」
 相原ははぐらかすように目線を外して言った。
 するとレムリアは、え?とばかりに表情を変えてから。
「知ってて……」
「わけがない。ヒッタイトつながりか?」
「うん。ダビデ王に忠誠を尽くしたヒッタイトの戦士の名。だけどダビデは彼の妻に懸想した挙げ句、子供までもうけた。こうなると彼の存在そのものが邪魔。そこで、どうせ元々ヒッタイトなんだしぃ、みたいな差別意識から、彼を無茶な命令で戦場に赴かせ、死に追いやった。当時ヒッタイトとイスラエルは敵対していたんだけど、彼はイスラエル人の妻を持ったことから、イスラエルに、その王ダビデに忠誠を誓った。なのに、ってわけ」
「悲劇だなぁ」
「だけど、神様はちゃんと見てますよっていうのが最後に付いてね、ダビデも懸想の子を死に奪われる。旧約聖書に出てくる逸話の一つ。裏切られても忠誠を尽くせ、みたいな話のネタに使われる」
「神様はちゃんと見てます。か」
「私の場合、神様には見てるだけじゃなくて、イエスと同じ力を私にひととき、とお願いしたいところ。だって、だって時間がないから」
 レムリアは真顔で言った。
 相原を見る。
「泣き言うよ。あなただから言うよ。天使になりたい」
 彼女は呟いた。その口調は、子どもの無茶なおねだり……に、印象としては近い。
 人の心は、深く傷つくと、幼い頃と同じ優しさを受けよう、という意識が働くと言われる。
 幼子がわざと悪態を付いたり無茶を言うのは、親にかまってもらいたい裏返し。
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(つづく)

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