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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-097-

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「天使?」
「まいかちゃんに誰にも知られず近づける」
 レムリアは言った。
 その瞳が揺れ動いている。
 今回、そもそもの主旨、真の目的は彼女であるのに、オトナの都合で彼女には充分楽しんでもらえなかった上、今現在、彼女に対して何のアクションも取れない。そうかと言って頭から追い出すことも不可能。
 距離を取っても、速度を出しても、逆に心には、それだけが浮き彫りのように残る。
 相原はもうすっかり冷えた自分のドッグの残りをかじった。
「いやだね」
 少年の口調で一言。
 レムリアは目を剥いた。
「君が見えなくなっちまう。天使ってのは見えないから天使なんじゃないかい?」
「じゃぁやっぱりイエスの力だ」
「で、バケモノ扱いされて、磔にされる。君の志はジ・エンドだ。普通命を賭けてと言うとカッコイイ印象があるが、人命救助は逆に当人がたやすく死んじゃいけないと思うのはオレだけか?」
 果たしてレムリアは不機嫌になった。……八つ当たりに近いが。
「意地悪だね。判っててやってるもんね。私が小悪魔ならあなたは大悪魔だ」
「君がなすべき事が何か、オレが決めろと言ってるように聞こえるが?」
「そう言ってます。だってどうしていいか判んないんだもん!だって、だってまいかちゃんは、まいかちゃんは……」
「だ~め」
 相原は“泣きが入る” 前に、断ち切るように、言った。
「その手には乗りません。こと君の能力発揮に関しては、なるべく自分で考え出すようにすることをおすすめします。俺の発想じゃ限られるし、毎度地球の裏側まで状況見に行くわけには行かないし」
 果たしてレムリアは目線を外した。
「学ってもう少し優しいと思ったんだけどな」
「冷たくしたつもりはありませんよ。ただ、ずっと君を見てきて俺の感じる限り、君の力は君の向上心とセットになってると俺は思ってるんだ。実際君は半年前より精神的に成長してるし、力の行使もスマートになってる。んなもん、門外漢手を出すにあらずっていう以外、解釈のしようがない」
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(つづく)

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