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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-099-

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 相原は手を頬からそっと離し、しゃがみ込み、レムリアを見上げた。
「君に出来ることは、呪文を口にするだけかい?」
 相原は、レムリアの指先を持った。
 レムリアは相原に目線を降ろし、しかし何も言わない。
 考える気も、問いに答える気も、どちらもない。そういう気力が生じないのであろう。
 精神的に疲弊している。
 ショックを受けた精神は、視点を切り替えるということが往々にして難しい。
「ちがうよな。そうじゃないはずだ。まず喜んでもらう。今回最初に決めたのはこれのはず。迷うなら原点に戻ろうよ。君にしかできない、君だからこそ出来ることは、呪文唱えることだけかい?そのためには忍び込むしか方法がないのかい?」
 レムリアは否定も肯定もせず、ただ唇を噛む。
 と、その背後、昇降スロープの上に人影。
 件の美女である。その名……この船では互いをコールサインで呼び合うのでそれを書いておく。セレネという。
 レムリアは振り返る。
「副長……」
「PSCが耳栓型に改良されたので持ってきましたよ」
 副長セレネは言い、確かに耳栓様の小さな機器を手のひらに載せてレムリアに示した。
 PSC:Psychology-direct-reflection Synchronization Control-unit。心理同期制御とでも訳すか。それは端的に言えば思った通りに、思っただけで、この船を動かすシステム。従前……相原が乗り組んだ時はヘッドホン型で、何本ものケーブルで船の制御コンピュータと接続して用いるタイプであった。
「そして今夜は満月です」
 副長セレネが微笑を浮かべる。その微笑はエキゾティシズムに溢れ、古代の女王を思わせる。
 相原は頷くと、立ち上がり、はんてんのポケットから銀色の輝きを取り出した。
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(つづく)

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