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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-103-

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 母は顔を、窓に向けた。
「まいか……」
 母は、その光景を、揺らめく瞳で捉え、娘の名を呼んだ。
 まいかちゃんは、ゆっくりと影を追い、目線を動かす。
 窓の外。
 女の子がそこにいる。月を背後にし、放つプラチナ色の光に照らされて、女の子の姿はシルエットとして母子の視界にある。ショートカットの娘であり、その髪が緩くなびく。
 髪に続いて女の子の身もゆらりと動く。女の子は不動の場所にいるわけではない。何かに乗り、窓の外に浮いている状態。
 船。
 深夜の病院。窓の外。
 月明かりの中、明らかに空中と思われる場所に、船が浮いている。
 空飛ぶ船に女の子。
 童話世界さながらの超絶の光景が母子の眼前で展開している。その映像の鮮烈さと衝撃は、常識による否定の開始を許可しない。夢かと問うことすら認めない。ただ、その光景を目にしているという認識のみが存在し、母子の心を捉えて離さない。
「こんばんは」
 シルエットの少女が声を出した。
 その声に、まいかちゃんの瞳には、自ら光を放っているような輝きが宿った。
 花が咲くように形作られる笑顔。
「お母様におかれては初めまして。わたくしは、メディア・ボレアリス・アルフェラッツ」
 少女は、名乗り、胸に手を当て、頭を下げた。
「メディア……だってそんな魔法なんておとぎ話……」
 母親は言ったきり、手を口に当て、言葉を失う。
 震えわななく肩、ぼろぼろとこぼれ落ちる涙。
 王女メディア……レムリアは、窓より病室に降り立ち、母の手を取る。
「お待たせをしてしまいました。まず先に、お招き下さったお母様に、ご挨拶を差し上げるべきでした。昼間はすれ違いになってしまいました」
 片膝を突き、母を見上げ、お詫びの言葉を口にする。
 母親は首を横に振る。
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(つづく)

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