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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-106-

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 ちなみに半人前と書いたが、それでも少し前、相原が船に乗り組んだ時には、変身ですら全身が脱力するほどの精神集中と、手順に沿った儀式と呪文を要した。相原が言った通り、比して成長していると言えようか。
「さぁお姫様、今宵はようこそ私どもの船へ。これよりひととき、姫を夜の空の旅へとご案内申し上げます。まずは姫の国を遥か高みよりどうぞお目にお収め下さい」
 レムリアは言い、頭の上に腕を持ち上げ、くるりと円を描き、その動きに応じて現れた金色に輝くリングを、船の舳先へと投げた。
 リングが舳先に投げ輪のようにひっかかり、くるくる回り、周りながら光の粉を放ち、バラバラに散ったようになり、舳先の部分全体がキラリと光る。
 船が動き出す。
「あ……」
 まいかちゃんが慌てて舳先部分の木(実際にはカーボンナノチューブ)の柵に掴まる。
 船はゆっくりと浮上を始める。上がって行く船を母親が病室から見つめ、二人は母親に手を振る。
 浮上からゆっくりと前進のベクトルを混ぜて行く。前へ行きつつ、上へ昇りつつ。
 金色の光の粒子が吹き上がるように甲板周囲に現れ、海行く船から上がる波しぶきのように、船の周囲を覆う。
 視界が広がって行く。
 病院が小さくなり、周囲に広がる森の中で月に照らされる様子が見え、森の向こうの市街地が目に入る。道に沿う街灯が縦横の模様を描き、やがてそれが網の目となり、一つに繋がり、光の絨毯と化す。
 光の絨毯が遠くに広がる。高層ビルを擁する都会の灯火が銀河中心のように華やかに光を放ち、やがて、神奈川から千葉にかけての海岸線が、光に彩られて浮かび上がる。
 甲板上は風が緩やか。夜間の屋外であり、季節と高度を考慮すれば凍えるほどでもおかしくない。しかし、その穏やかな風はむしろ暖かい。無論、船の能力による小細工の結果である。
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(つづく)

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