« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-112- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-114- »

【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-113-

←前へ次へ→
.
『お前はどこに行くんだい』
 その問いにまいかちゃんの表情が曇る。
『どうした。元気が無いじゃないか』
「病気なのあたし」
 まいかちゃんは、どうにかそれだけ言った。
 話す相手を間違えたか……とレムリアは一瞬思った。まいかちゃんの今の状態に対し、酷寒の地を生き抜くバイタリティ溢れる野性。
 すると、予想もしなかったことを狼は口にした。
『そっちに行ってもいいか?』
「えっ」
 レムリアは、まいかちゃんが肯定も否定もする前に、船の高度を下げた。
 それは直感である。この狼に出会ったことは何か意味がある。
 船体を傾け、左舷を地表へ向けた。
 狼が白い大地を蹴る。
 跳躍し、甲板へとドンと降り立つ。その全身は深々とした灰色の毛で覆われ、付着した雪氷が甲板に散る。
 まいかちゃんが思わず後ずさる。
 現生の狼は、一般の家畜大型犬よりも更に一回り大きい。体重も彼女たちと同等以上は優にある。後足で立ち上がれば、恐らく見上げるほどはあろう。実は昔話に出てくるニホンオオカミは小型種なのだ。
 そのサイズと纏った野性のオーラは、最も野性が退化した人間と、正に対極に位置する存在といえる。
 それは狩る者と狩られる者との対比そのものであり、たとえ人間であれ、否、人間ですら、気圧される、迫力に圧倒されるような感じを受けても不思議ではない。
 狼は、まいかちゃんに生じたであろうそんな気持ちを、それこそ狩る者の野性で敏感に感じ取ったようだ。
『怖いか。悪かったな。でもお前に力を感じなくて、つい、な。名前は』
「まいか」
『そうか。まいかか。じゃぁいいかまいか。あれに向かって吠えろ』
 あれとは満月である。いかにも狼の発言。しかし。
「吠える……」
『そうだ。目一杯の、お前が出せる目一杯の声出して吠えろ。ありったけでっかい声でな。スッキリするぞ』
.
(つづく)

|

« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-112- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-114- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-113-:

« 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-112- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-114- »