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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-116-

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 まいかちゃんは叫んだ。私は狼になりたい!
 まいかちゃんの声は残響を持って荒野に広がり、吸い込まれ、小さくなり、消えた。
 遠くの狼から反応があった。
 まいかちゃんに再び笑顔。
『なかなか筋がいいぞ。仲間たちもおまえを歓迎だ。じゃぁ、走れるようになったらまた来いな。おい魔女、まいかは今からオレたちの仲間だからな。泣かしたらお前のこと食ってやる』
 狼はニタッと笑うかのように、唇をよじらせて牙を見せた。
「受けて立ちましょ」
 レムリアは真似して歯を見せて応じた。
 同時にこの狼に会えたことを良かったと思う。いろんな示唆を得られたし、何より再会の約束をした。今のまいかちゃんにとって、それは目標を与えることそのもの。しかも、うまく言えないけれど、単に治れ頑張れというより、プレッシャーも恐怖感も少なくて済む、と感じる。
 最も、実は、真実を敏感に感じ取ったであろう狼の、精一杯の優しさなのかも知れないが。
『いい返事だ。まいかはどうだ』
 狼は問うた。
「うん。走れるようになってまた来るよ」
『よしいい返事だ。約束だぞ。そうだまいか。もし苦しいことがあったら、オレを思い出して吠えろ。まいかがどんなに遠くにいても、オレはお前の声を聞きつけて返してやる。たとえお前が地の果てにいてもだ。じゃぁ、またな』
 狼は再び華麗そのものの跳躍を見せ、併走していた群れに戻った。
 家族で吠え声を上げる。
 まいかちゃんは左舷に駆け寄り、彼らに手を振る。バイバイと大きな声を上げて手を振る。
 まいかちゃんはもう一度、狼になった。
 群れが応じ、森の中へ消えて行く。
「人間も、狼になれればいいのにね」
 まいかちゃんは、狼が去った方向を、ずっと見ながら、言った。
 寂しげな横顔。
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(つづく)

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